
東京から10時間、日本から最も近いヨーロッパの国、フィンランド。そんな何だか遠くて近い国でひそかに誕生した映画「かもめ食堂」。フィンランドの首都ヘルシンキは青い空にのんびりとかもめが空を飛び交い、ヨーロッパ各地からの客船が行き交う美しい港町です。その街角に、日本人女性サチエが経営する「かもめ食堂」(ruokala lokki)は小さいながらも健気に開店しました。そんなかもめ食堂を舞台にそれぞれの登場人物の、丈夫だけれどちょっとやるせない、日常的なようでそうでない、不思議な物語が始まります。
「人はみな変わっていくものですから」
主人公サチエの印象的なこの言葉に向かうこの物語には、静かだけれど力強い、そして心地いい、そんな柔らかな幸福感があふれています。


